【社員ブログ】インドネシアでエネルギー&衛生事業視察

2012/09/06

皆さん、こんにちは。スラマッパギ。
コンサルティング課の小谷です。

私は、現在APEXという団体を通して、インドネシアに赴いております。
適正技術人材育成研修の一環として、現地で地域におけるバイオマス発電や排水事業などの視察を行っております。

 

沢山視察したのですが、その中で、今回はジャトロファ事業についてちょこっとご紹介。

 

APEXが行っているジャトロファ事業は、エネルギー問題の解決だけでなく地域の貧困削減や環境保全にも寄与している複合的な事業となっています。

本事業は外務省の助成金を得て3年かけて実装させたもので、今後は自立的なビジネスモデルとして地域で仕組みを定着させていくことが課題だとのこと。

(写真①:ジャトロファ種子センターとモデル農園)

 

ジャトロファは地域の生垣などにも昔から栽培されていたそうです。

荒地でも栽培可能なことから、現在は零細農家の方の副収入源としてジャトロファ事業で種子の買取を行っています。

(写真②:ジャトロファの実と種子)

 

また、地域のリーダーの方や農民グループの方へヒアリングも行いました。

(写真③:レロロジャ村の村長と、村役場の前で)

 

豊かな自然に支えられた伝統的な生活が、近代化による環境破壊により失われつつある現実。

一方で、近代テクノロジーの最先端を生活に寄り添った形にデザインすることで、生活を豊かにする技術群。

人懐っこいインドネシアの方々との交流を楽しみながら、「経済/社会/文化」の持続可能な在り方、暗中模索の先にある帰着点に、想いを馳せております。

 

話は変わって、先日、APEX代表の田中直氏の新著「適正技術と代替社会-インドネシアでの実践から」(岩波新書)が出版されました。

団体の方が著書をお持ちだったので、早速お借りし、行きの飛行機の中で拝読致しました。

 

特に私が印象に残った一文をご紹介。

 

インドネシアの現状に即したバイオマスのガス化技術を筆者は開発。
その開発過程では多くの困難に直面しながらも、揺るぎ無き信念の下、開発を進めてゆきます。
その経験の中で、田中先生が感じられたバイオマスのガス化技術に対する認識として、以下の内容が語られています。

 

「「先進国」の技術が、いかに専門性の壁に囲まれ、非常に高コストである上に、人々の手の届かない、それに従属するしかないものになっているかにも、あらためて気づかされた。
(その気づきが)人々にコントロール可能な技術、人々の創意やくふうに解放された技術をいかに生み出すか、という努力につながった。」(P.115)
(括弧内は引用者が挿入)

 

技術開発のその先をしかと見つめた力強いお言葉だと感じました。
私も、自身の立場のみに縛られず、相手の生と隣り合う「技術」の在り方について、常に広い視野で考え、事業に反映させていきたいと思います。

また、視察の詳細については別の機会に。

(文責:コンサルティング課、小谷)