みなさん、こんにちは。スラマッシアン。
コンサルティング課の小谷です。
昨日無事にインドネシアより帰国致しました。9月に入り、日本も秋も涼しさを装い始めている頃かと期待して帰ってきましたが、まだまだ残暑は続きそうですね。
さて、インドネシア記第2弾は、インドネシアの排水処理事情に関してです。
インドネシアはとても暑い気候ですので、子どもたちは近所で川遊びをするのが大好き。私たちがクリチャック地区を訪問した際も、近所の子どもたちが元気に川遊びをしていました。
(写真①:元気に川遊びを楽しむ近所の子どもたち)
でも、その川をよく見てみると・・・
子どもたちが遊んでいる川には、生活排水や廃プラスチックなどのごみが沢山流れ込んでいます。
(写真②:生活排水で汚染された河川の様子)
これでも、以前よりも随分と環境は改善されたそうです。
インドネシアでは、現在、下水道普及率が都市部でも2%程度しかありません。適切な衛生設備を利用できない人は、約7000万人(全人口の約30%)もいるのです。(出所:Pokja AMPL,2010)
汚水の垂れ流しは、環境悪化や近隣住民の健康被害など、多くの社会問題の原因になります。
今回は、インドネシアのトイレ事情にフォーカスして取り上げてみたいと思います。
こちらは、農村部の方が利用しているトイレの一例です。
(写真③:レロロジャ村のトイレ外観)
竹をベースに、近くで手に入る材料を利用して、手作りで作られています。このトイレを村の皆さんで共有されているそうです。
(写真④:レロロジャ村のトイレ内装)
排水の行方は定かではありませんが、オープントイレットが主流な農村の中では小屋があるだけ良い方かもしれません。
次に、現地NGOのトイレプロジェクトで普及促進をしているセプティックタンク型のトイレです。
(写真⑤:セプティックトイレ外観および内装)
このトイレは、地中にセプティックタンクと呼ばれる腐敗桶を設置しており、排水を嫌気性処理して地中に流す方法です。
(写真⑥:使用前のセプティックタンク)
省エネルギー、低コスト、設置場所の柔軟性などの理由から、衛生設備普及率の低い農村部には有効な排水処理の仕組みだと言えます。
しかし、欠点は排水処理能力が高くないこと。
土地の広い農村部ではあまり問題になりませんが、人口密度の高い都市部では、セプティックタンクからの処理水が井戸水に混ざり、地域の飲料水源を汚染する事態が発生しています。
そこで、都市部における排水処理設備としてAPEXが開発したのが、嫌気性処理と好気性処理を統合した回転円板式排水処理装置です。装置の高効率化と小規模化、地域で入手可能な材料の利用などにより、都市部の住宅密集地域において住民自らが管理可能な排水処理システムの構築を行ってきました。
今回の視察のメインの一つも、この排水処理システムであります。
(写真⑦:排水処理システムを見学している様子)
(写真⑧:回転円板の実物大サンプルを前に、技術的特徴の説明を受けているところ)
視察で訪問したクリチャック地区では、12㎡で70世帯分の排水処理を行っています。日本だと同じ面積で3-4件分の処理しかできないと言うのだから、そのコンパクトさには驚きです。排水処理設備の導入にあたり、トイレを設置していなかった家庭にもトイレと排水管が整備されたそうです。
また、今回訪問したプロジェクトサイトでは、住民参加型アセスメントを採用し、建設前から地域住民のコミットメントを促し、運営体制基盤の構築を行っていました。
排水処理はいろいろな方法がありますが、その地域の特性や経済性に合わせた方法を採用しなければ、結局、成果は持続しません。
地域住民との密なやりとりと粘り強い技術開発の大切さを改めて実感する視察でありました。
インドネシア記第3弾は、バイオマス発電プラントについてです。
To be continued,
(文責:コンサルティング課 小谷)